『道をひらく』(松下幸之助著)を読む80 【事業をよりよく伸ばすために】:「見方を変える」
【事業をよりよく伸ばすために】:「見方を変える」
■行き詰まりは、視点の固定から生まれる
松下幸之助氏は、「一つの見方にとらわれるな」と説いています。
物事がうまく進まないとき、多くの人は「この方法で何とか突破しよう」と同じ道にこだわります。
しかし、それこそが行き詰まりの原因です。
松下氏は富士登山を例に挙げています。
富士山には西からも東からも登る道がある。
もし西の道が険しければ東から登ればいい。東が難しければ西に回ればいい。
目的地は同じでも、そこへ至る道は一つではありません。
これは事業も人生も同じです。
ひとつの方法が通用しないなら、別の方法を試せばよい、それだけのことです。
■「このやり方しかない」が失敗を招く
人は知らず知らずのうちに、自分なりの成功体験や常識に縛られます。
「これが正しい」「このやり方しかない」「今までこれでやってきた」、こうした思い込みは、一見すると信念のように見えます。
しかし実際には、可能性を狭める足かせになることが少なくありません。
そして、その固定観念にしがみついたまま無理を重ねれば、やがて大きな失敗につながります。
行き詰まったときに必要なのは、力任せに突破することではありません。
立ち止まり、視点を変えることです。
■模索とは、見方を変え続けること
松下氏のいう「模索」とは、ただ迷うことではありません。
方法を変え、角度を変え、視点を変えながら最善の道を探し続けることです。
この方法がだめなら別の方法、正面が難しければ側面から、それでもだめなら、一度引いて全体を見直す、こうした柔軟さこそが、突破口を生みます。
本当に強い人とは、一つのやり方に固執する人ではありません。
状況に応じて発想を切り替えられる人です。
■こだわりを捨てたとき、道はひらく
私自身を振り返っても、かつては一つのやり方にこだわりすぎていた時期がありました。
過去にうまくいった方法、誰かに教わった定石、「こうあるべきだ」という思い込み、そうしたものに縛られている間は、視野が狭くなり、新しい道が見えませんでした。
しかし、失敗や行き詰まりを経験する中で学んだのは、こだわりを捨てることの大切さです。
少し引いて全体を見る、別の立場から考えてみる、これまでとは逆の発想を試してみる、そうすると、不思議なほど道が見えてくるのです。
■柔軟さこそ、成長の条件である
事業を伸ばす人に共通しているのは、柔軟な思考です。
環境は常に変化します、市場も、人も、価値観も変わり続けます。
その変化の中で成長し続けるには、自分の見方もまた変化させなければなりません。
一つの考えに固執することは強さではない、むしろ変化を拒む弱さです。
見方を変えられる人だけが、新しい可能性を発見できます。
松下幸之助氏のこの教えは、極めて実践的です。
行き詰まったときこそ、自分に問いかけるべきです。
「別の見方はないか」
その一歩が、新しい道をひらくのです。