【事業をよりよく伸ばすために】:「追求する」

■仕事は「指示した瞬間」では終わらない

松下幸之助氏は、仕事を命じた後の「追求」の大切さを、ロケット発射になぞらえて説いています。
ロケットは打ち上げた瞬間がゴールではありません。
発射後、何千キロ、何万キロと飛び続ける軌道を追跡し、刻々と状況を確認しながら、目的地に到達させてこそ意味があります。
もし打ち上げたまま放置すれば、それは壮大な無駄に終わります。
仕事もまったく同じです。
指示を出しただけで満足し、その後を確認しなければ、成果は偶然任せになります。
これでは責任ある仕事とはいえません。

■フォローこそ、指示を出した者の責任
人はしばしば、「頼んだから、きっとやってくれているだろう」と思い込みます。
しかし、それは信頼ではなく放任です。
松下氏は、命じた者には最後まで追い続ける責任がある、と明言しています。
進捗はどうか、課題はないか、予定通り進んでいるか、必要な支援はあるか、これを確認し続けることが、仕事を確実に成果へ結びつけるのです。
追求とは、相手を疑うことではありません。
成果に責任を持つ姿勢そのものなのです。

■適度な緊張感が組織を強くする
追求される側にとって、それは決して楽なことではありません。
しかし、「必ず確認される」という意識があるからこそ、仕事への緊張感が生まれます。
期限を守る、質を高める、途中で問題を共有する、こうした習慣が、組織全体の仕事の精度を引き上げていきます。
一方で、追求する側にも根気が求められます。
忙しさに紛れて確認を怠れば、せっかくの指示も宙に浮いてしまうからです。
成果を生む組織は、この「確認の文化」が徹底しています。

■信頼と任せっぱなしは違う
私自身、部下に仕事を任せたあと、「きっとやってくれているだろう」と、そのままにしてしまった経験があります。
部下を信頼しているからこそ任せている、そう考えていました。
しかし、振り返れば、それは責任を果たしていたとは言えません。
信頼とは、放っておくことではありません。
見守り、必要な時に支え、最後まで確認することです。
そこには、相手への敬意と、仕事への責任が伴っています。

■成果は「追い切った先」に生まれる
仕事は、指示を出した瞬間に始まり、成果が確認された時に初めて完了します。
途中を追わずして、良い結果を期待することはできません。
松下幸之助氏の教えは、実に明快です。
任せたなら、最後まで追う、確認し、支え、必要なら軌道修正する、それが、責任あるリーダーの姿です。
成果を出す組織に共通するのは、指示の巧みさではありません。
最後までやり切らせる「追求力」なのです。

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