みずから決断を下すときに:「眼前の小利」

「眼前の小利」に惑わされるな──経営判断の落とし穴を避ける智慧

『一瞬の欲が、全体を狂わせる』
「少しくらい、いいだろう」
その一瞬の判断が、大きな損失を生むことがあります。
松下幸之助氏はこう警鐘を鳴らします。
「一人のちょっとした心得違いが、多くの人の道を誤らせることになる」
特に注意すべきなのは「眼前の小利」、つまり目の前に見える小さな利益です。
ほんの少し得をしたい、その気持ちが判断を曇らせ、最終的には自分だけでなく、会社や関係者全体に損害をもたらすリスクすらあるのです。

『小さな欲が、大きな損につながる』
■ 急場をしのぐために、無理な取引を決めてしまう
■ 一時的な数字を良く見せようと、帳尻を合わせてしまう
■ 部分最適を優先し、全体のバランスを崩してしまう
これらはすべて、「眼前の小利」にとらわれた結果です。
一見すると合理的で、短期的には“勝った”ように見えるかもしれません。
しかし、長い目で見ると、信頼の喪失・組織の混乱・市場からの退場など、取り返しのつかない代償を払うことになりかねません。

『ビジネスは“自分だけのもの”ではない』
ビジネスは、チームで動くものです。
経営者の判断ひとつで、社員・取引先・顧客など、数多くの人に影響が及びます。
だからこそ、松下氏の言葉、「眼前の小利にとらわれてはいけない」は、個人の倫理ではなく、経営全体の責任論として肝に銘じるべきなのです。

『私自身が学んだ、危うさと教訓』
正直に言えば、私自身も「目の前の利益」に手を出しそうになったことが何度もあります。
いや、実際に手を出してしまったこともあったかもしれません。
幸い、大きな問題には至らなかったものの、今振り返ればヒヤリとする場面は数えきれません。
特に苦しい経営局面では、目先の利益がまるで“救いの手”のように見えてくる。
けれど、そこで飛びついていたら、「自分だけは助かっても、他の多くの人が苦しむ」、そんな未来があったかもしれません。

『“長い目”で見て、冷静に判断する』
困難なときほど、判断を急いではいけません。
自分の心が「これで得できる」と騒ぎ始めたときほど、一歩引いて冷静になり、次の問いを自分に投げかけてみてください。
■「これは本当に会社全体にとってプラスか?」
■「半年後、1年後にこの判断を振り返ったとき、胸を張れるか?」
■「この選択で信頼を失う人はいないか?」
一呼吸おくことで、短期的な利益ではなく、長期的な信頼と成果を選べるようになるのです。

『自分ひとりのミスが、すべてを狂わせる』
経営とは、日々の決断の積み重ねです。
そしてその判断の重みは、自分ひとりだけの問題ではないことを忘れてはいけません。
だからこそ――
「眼前の小利に惑わされるな」
この言葉を経営者として、ビジネスリーダーとして、常に胸に刻み続けたいのです。

『判断に迷ったとき、立ち返るべき3つの視点』
■「それは一時的な得か、永続的な信頼か?」
■「自分だけが得をしていないか?」
■「この判断を、社員に説明できるか?」
“長期の視点”と“全体への責任”を持つこと。
それが、経営者としての器を問われる、最大の場面なのです。

⇦「「九州・農業WEEK」に参加して感じた、食の未来と希望」


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