『道をひらく』(松下幸之助 著)を読む57
「困難にぶつかったときに」の振り返り
五番目の大きな章である「困難にぶつかったときに」を読み終えました。
前の章に続いて、どのような感想を持たれましたでしょうか。
それではここでも、私なりに各小章について、理解した内容を以下に要約してみます。
「心配もまたよし」:憂いなければ進歩なし。知恵と力を絞ることで思いもかけない新しいものが生み出される。
「時を待つ心」: 力を蓄えて静かに時を待つ。焦らず大自然の流れの中で静かに時が来るのを待つ。
「岐路にたちつつ」:何も心配事がないのが幸せではない。常に困難は起こりそれを乗り越えるところに幸せがある。
「困っても困らない」:困難は飛躍の土台と考える。そのように決断すれば困ったことは困ったことでなくなる。
「世間というもの」:世間は見方によって厳しいとも暖かいともいえる。一喜一憂せず自分のやるべきことをやる。
「仕事というものは」:勝負する勇気をもって仕事をする。緊張感を持って働くと力は倍増する。
「忍耐の徳」:すぐにあきらめるな。もう駄目だと思ったときにもうひと辛抱すると道が開ける。
以上のことから、松下幸之助氏はこの章では次のことを言いたかったのではないでしょうか。
「自分を磨いてくれる困難にはすすんで真剣に取り組む」
もっと言えば、
「困難で自分を磨く」
ということ。
そして最後にある締めくくりの文章を引用します。
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ただ一人だけの 小さな幸せに満足することなく
おたがいに この国日本を満たす 大きな夢と
確固とした志を もたねばならない
長い伝統に培われた 日本人本来の高い精神と
私たちが今日までたくわえてきた自立力とを
いまこそ 新たな時代にふさわしい 新しい姿で
政治や経済 教育や文化に 正しくよみがえらせたい
日本を いきいきとした民主主義の国にするために
この世界に より大きな幸せをもたらすために
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松下幸之助氏は、私たちは個人の小さな幸せに満足するのではなく、日本全体をより良くする大きな夢と志を持つべきだと説いています。
日本には長い歴史と伝統が育んだ高い精神性や、これまで築いてきた自立の力がある。
その力を新しい時代にふさわしい形で政治・経済・教育・文化に活かし、真に活力ある民主主義国家をつくり、さらに世界の幸せにも貢献していくことが、今求められていると。
松下氏の、新しい時代に新しい姿の日本という国をよみがえらせたいという、確固とした志をうかがい知ることができるのではないでしょうか。