『道をひらく』(松下幸之助著)を読む55
困難にぶつかったときに:「仕事というものは」
松下幸之助氏は、仕事とは何か、という問いに対して、非常にシンプルでありながら本質的な答えを示している。
「仕事とは、つねに真剣勝負である。」
この一言こそ、今のビジネスパーソンがもっとも忘れがちな視点だ。
仕事は「毎日のルーティン」ではなく「一瞬一瞬の勝負」である
仕事は、昨日の続きが今日にあり、今日の続きが明日にある。
その繰り返しが日常になると、どうしても緊張感は薄れていく。
・慣れが生まれ
・油断が生まれ
・そして思考は鈍っていく
しかし松下幸之助氏は、「それではダメだ」と警鐘を鳴らしている。
仕事とは“勝負”である。
勝負なら、人は無意識に本気になる。
知恵を絞り、工夫を重ね、力を出し切る。
その瞬間にこそ、新しい価値が生まれる。
時代の変化が激しいときこそ、「勝負の覚悟」が未来を決める
松下氏がこの言葉を残した当時も、日本は国際情勢の波に揉まれていた。
今の私たちが直面している環境もまったく同じだ。
・国際情勢の不安定化
・予測不能な市場変動
・AIの急激な進化
いまは“油断が命取りになる時代”と言っても良い。
だからこそ、松下氏は次のように言う。
「勝負をする大勇気をもって仕事に当たれ」
平時の働き方では、変化の時代を生き抜くことはできない。
“勝負”だと思うからこそ、人は本気で未来を切り拓ける。
社長になって初めて気づいた「勝負の重さ」
私自身、経営者になる前までは、「仕事は真剣勝負だ」という覚悟が十分だったとは言えない。
サラリーマンとして働いていると、自分ひとりの判断が会社の命運を左右するという実感はどうしても持ちにくい。
しかし社長という立場になると、すべてが変わった。
・一つの判断ミスが会社を傾けてしまう
・社員の生活が自分の決断に直結している
・市場からのプレッシャーが一挙にのしかかる
そこで初めて、「仕事とは世間と向き合う勝負なのだ」ということを痛いほど思い知らされた。
責任が大きくなればなるほど、人は仕事に対して真剣になる。
本気になる。
そして覚悟が育つ。
肩書に関係なく、今日から“真剣勝負”で仕事をせよ
松下幸之助氏が本当に伝えたかったのは、「社長になってから真剣になるのでは遅い」ということである。
肩書きや役職は関係ない。
・新入社員であっても
・中堅の社員であっても
・専門職であっても
仕事を“勝負”と思って取り組んだ瞬間、成果は別次元に変わる。
一瞬一瞬を勝負と捉える人には、創意工夫が生まれ、判断力が磨かれ、そしてチャンスが引き寄せられていく。
このように松下幸之助氏は、仕事を「こなす」のではなく、仕事に「挑む」姿勢を求めている。
そしてその挑む勇気ある姿勢こそが、あなた自身の未来を切り拓き、組織を強くし、ひいては国の力にもなると信じていたのだ。
仕事とは、真剣勝負。
あなたが本気になった瞬間から、結果は必ず大きく変わりだす。