『道をひらく』(松下幸之助 著)を読む 14
日々を新鮮な心で迎えるために:「日々是新」
松下幸之助氏の「日々是新」という言葉には、人生に再挑戦する力が秘められています。
どんなに苦しい日でも、朝が来れば新しいスタートが可能です。
過去に引きずられるのではなく、自分の感情や意識を一旦リセットし、現状を新たな視点で見つめると、異なる行動や解決策が見えてくるのです。
区切りとして、1日や1週間、または1年という時間の単位を自分なりに利用することが、心の救いとなります。
生物の細胞が絶えず新陳代謝するように、人もまた自然と心をリフレッシュする力を持っているのです。
これは自然界の摂理に即したものであり、毎朝、自然と心が軽くなるのもそのおかげなのです。
朝の光とともに前日までの重荷を手放すことで、視野が広がり、新しい発想が生まれるかもしれません。
私自身を振り返って見ると、苦労を引きずることが多かったように思います。
特に経営上の悩みというものは、関係者への影響も大きく、一朝一夕に解決できないことがあります。
そうすると、何日も何か月も、思い悩むことになります。
いま考えると、その問題に没頭するあまり視野や思考が狭くなり、かえって解決が遠のいていたのではないかと思います。
朝起きた時ないどに「きのうはきのう、きょうはきょう」と気持ちを切り替えて取り組めば、違った発想ができるばかりでなく、心の負担も軽くなったのではないかと思います。
昨日までとは違った新しい自分が、改めてその問題に取り組むというぐらいの気持ちで良いのかもしれません。
経営のことばかりでなく、現代のビジネスは複雑な問題が絶えません。
だからこそ、昨日までの重荷を背負わず、毎朝「日々是新」の気持ちでリセットして、まるで新しい自分が生まれたかのような気持ちで挑むのです。
松下氏の「日々是新」の教えは、現代に生きる私たちに大切な「気持ちをリセットする力」を授けてくれています。