みずから決断を下すときに:「命を下す」

◎「命を下す」──組織を活性化するリーダーの在り方

松下幸之助氏は、「命を下すことは決して容易ではない」と述べています。
企業や組織には上司と部下が存在し、通常、上司の指示に基づいて部下が動くことで業務が進行します。
しかし、もし部下が指示待ちの姿勢になり、上司の命令がなければ動かない状況になってしまったらどうなるでしょうか?
そのような状態が続けば、組織は硬直化し、企業の成長や発展は望めません。
逆に、命令がなくても部下が上司の意をくみ、適切に行動できるようになれば、業務の流れはスムーズになり、組織の発展力も高まるのです。

『命令ではなく「対話」が組織を強くする』
このような理想的な状態を実現するためには、一方的な命令ではなく、部下との対話が不可欠です。
松下氏は、命令を下す前に次のプロセスを踏むことを推奨しています。
1)    まず部下の意見を聞く ―  どのように考えているのかを確認し、意見を尊重する
2)    意見をすり合わせる  ―  上司の考えと異なる点があれば、その理由を説明する
3)    納得のうえで命令を下す ― 部下が命令の意図を理解し、主体的に行動できるようにする
こうすることで、部下は指示を機械的にこなすのではなく、自ら考え、知恵を生かして業務に取り組むようになります。
それが組織の成長を促し、企業の発展にもつながるのです。

『リーダーとしての成長のチャンス』
私自身、かつては「上司として命令を下すのは当たり前」と考え、部下の意見を聞くことはほとんどありませんでした。
しかし今振り返ると、それは部下の成長の機会を奪っていたのかもしれません。
特に、複数の部下を抱えるようになると、日々の業務に追われ、つい命令を一方的に伝えてしまいがちです。
しかし、そこでひと呼吸おき、次のような姿勢を意識することで、組織の雰囲気は大きく変わります。
■命令の前に部下の意見を聞く
■部下と意見をすり合わせ、納得のうえで指示を出す
■命令ではなく、「共に成長する機会」として対話を重視する
こうした姿勢が、結果として社内の人間関係を円滑にし、組織全体の成長につながるのではないでしょうか?
次に命令を下すときは、ぜひ「対話するリーダー」を意識してみてください。
その小さな変化が、組織の未来を大きく変えるかもしれません。

⇦「『道をひらく』(松下幸之助著)を読む37」


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