【国の道をひらくために】:「政治という仕事」

■政治は、国民の暮らしを決める仕事である

松下幸之助氏は、政治という仕事を極めて重要なものとして位置づけています。
なぜなら政治は、国民一人ひとりの生活に直接影響を及ぼすからです。
税制、社会保障、教育、安全保障、経済政策など、政治の判断ひとつで、国民の幸福にも不幸にもつながります。
だからこそ松下氏は、政治という仕事はもっと尊ばれるべきだと語ります。
そして、その仕事を担う政治家もまた、もっと敬意をもって遇されるべきだと指摘しています。
これは決して特別な主張ではありません。
国の進路を決める仕事が軽んじられていて、その国が繁栄するはずがないのです。

■政治家が尊敬されない国に未来はない
松下氏が憂えていたのは、政治家という存在に対する社会の敬意が薄れていることでした。
もちろん、政治家自身の責任もあります。
国民から選ばれながら、その期待に応えない、誠実さを欠き、私利私欲に走る、そうした姿が信頼を失わせるのは当然です。
しかし同時に、政治家を選ぶのは国民です。
「誰がやっても同じだ」「政治は遠い世界の話だ」、そうした無関心こそが、政治を弱体化させます。
無関心は、民主主義最大の敵です。

■すべての仕事はつながっている
松下氏は、政治に限らず、あらゆる仕事は社会全体のつながりの中にあると説いています。
会社でも、自分ひとりだけで完結する仕事はありません。
納期を守らない、手を抜く、責任を果たさない、そうした行為は、たちまち他者に迷惑をかけます。
つまり仕事とは、自分のためであると同時に、社会のために行うものなのです。
政治は、その最たるものです。
政治家の判断は、企業活動を左右し、家庭の暮らしにまで影響を及ぼします。
それほど密接につながっているにもかかわらず、その関係を実感できなければ、政治への関心は育ちません。

■政治はビジネスにも直結している
経営をしていると、政治の影響を肌で感じる場面が少なくありません。
物価上昇、金利政策、規制改革、税制改正、労働法制など、こうした政策は、企業活動の前提条件を大きく変えます。
どれほど現場で努力しても、制度設計が歪んでいれば限界がある。
逆に、良い政治は企業の挑戦を後押しし、国全体の活力を高めます。
だから経営者も働く人も、政治を他人事としてはいけないのです。

■国民の関心が政治を育てる
松下氏が理想としたのは、志高い人が国民のために政治を担い、その姿が広く尊敬される社会です。
そのためには、政治家だけに変化を求めても不十分です。
国民一人ひとりが政治に関心を持ち、見守り、評価し、意思を示すことが不可欠です。
政治とは、特別な誰かの仕事ではありません、国民全員で支える公共の営みです。
私たちはもっと真剣に政治を見つめなければなりません。
国の未来は、政治家だけでなく、それを選び、育てる国民の姿勢によって決まるのです。

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