【国の道をひらくために】:「求めずして」

■真の強さは「自主独立」から生まれる
松下幸之助氏は、個人においても、組織においても、そして国家においても、「自主独立」の精神こそが本来あるべき姿だと説いています。
誰かに頼る、何かに依存する、他者から与えられることを当然と思う、こうした姿勢の中から、本当の成長も繁栄も生まれません。
人間も国家も、自らの足で立つからこそ真に強くなれるのです。

■「求める前に、自らを正す」
松下氏は、神仏に手を合わせる行為についても深い示唆を与えています。
多くの人は、困ったときに「助けてください」「何とかしてください」と願います。
しかし本来、手を合わせるとは何かを求めるための行為ではない、と松下氏は言います。
それは、自らの過ちを省み、己を正す決意を新たにする時間なのだ、と。
これは日常生活にもそのまま当てはまります。
他人に期待しすぎていないか、環境のせいにしていないか、誰かが何とかしてくれると思っていないか、まず問うべきは、自分自身の姿勢です。

■会社に頼る時代は終わった
この教えは、現代の働き方において極めて重要です。
かつてのように、「会社に勤めていれば一生安泰」という時代は終わりました。
大企業であってもリストラは起こり、終身雇用はもはや絶対ではありません。
だからこそ、働く一人ひとりに必要なのは自主独立の精神です。
会社に守ってもらうという発想ではなく、自分の力で価値を生み出し、どこでも通用する実力を身につける、これからの時代、それが生き残る条件になります。
私は社員にもよく伝えています。
「会社に養ってもらうのではない。自分の力で会社を支えるくらいの気概を持ちなさい」と。
この意識がある人は、環境が変わっても揺らぎません。

■自立した者だけが本当に協力できる
自主独立というと、孤立して一人で頑張ることだと思われがちです。
しかし、それは違います。
本当の協力は、自立した者同士の間にしか生まれません。
依存し合う関係は、やがてもたれ合いになります。
互いに責任を曖昧にし、組織を弱くします。
一方、それぞれがしっかり自分の足で立っていれば、そこに生まれる助け合いは極めて強いものになります。
私の会社でも、一人ひとりが自立したプロとして仕事を担い、その上で連携することを大切にしています。
小さな組織が力を発揮するには、この形しかありません。

■国家にも求められる自主独立
この考え方は、もちろん国家にも当てはまります。
他国に過度に依存し、自らの判断や責任を曖昧にする国に、真の繁栄はありません。
日本は本当に自主独立の国として立っているのか、私たちはその問いを真剣に考える必要があります。
国家の自主独立は、政治家だけの課題ではありません。
国民一人ひとりが「自分たちの国を自分たちで支える」という意識を持つことから始まります。
松下幸之助氏の教えは明快です。
求める前に、自ら立て。
頼る前に、自らを鍛えよ。
個人も組織も国家も、この精神なくして未来はひらけません。

『道をひらく』(松下幸之助著)を読む130➩

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