みずから決断を下すときに:「断を下す」

◎決断の本質──迷いを乗り越え、前進する力
人生も経営も、決断の連続です。
日々、大きな選択も小さな選択も繰り返しながら、私たちは前に進んでいます。
しかし、松下幸之助氏は「決断とは容易なものではない」と指摘しています。
迷いが生じたとき、人は立ち止まり、答えを探す。
しかし、どれほど悩んでも、選択を避けることはできません。
右へ進むのか、左を選ぶのか、それとも現状を維持するのか、大切なのは、「自ら決断すること」なのです。
結果がどう転ぶかは誰にも分かりません。
だが、決断を先延ばしにすることが、最も避けるべき事態であることは明白です。
個人の人生も、企業経営も、国家の運営も、すべては「断を下す」ことによって前に進むのです。

『なぜ決断を恐れるのか?』
多くの人が決断を避けがちなのには、いくつかの理由があります。
■「最善の選択」を求めすぎる → 完璧な選択をしようとすると、迷いが生まれ決断が遅れる
■「間違いを恐れる」 → 失敗を過度に恐れることで、行動自体をためらってしまう
■「現状維持の安心感」 → 変化を嫌い、リスクを避ける心理が働く
しかし、決断を先延ばしにすることこそが最大のリスクになり得ます。
たとえ完璧でなくとも、決断し、行動し、経験を積むことが成長につながるのです。

『決断力を高めるために』
決断を先送りにしないためには、次の3つの姿勢を持つことが重要です。
■情報を集めすぎない → 必要な情報を見極め、過剰な分析に時間を費やさない
■決断したら振り返りすぎない → 過去の選択に執着せず、次の一手に集中する
■失敗を学びに変える → 「最善でなかった」と思う決断も、次の成功の糧にする
振り返ってみれば、私自身の経営における決断も、常に最善だったとは言い切れません。
「もっと良い選択肢があったのではないか」「もっと早く決断すべきだったのではないか」と悔やむこともあります。
しかし、それは結果論に過ぎません。
当時の自分が最善と信じた道を選んでいたのだから、次に生かせばよいのです。
決断は、私たちを前に進める力となります。
迷いを振り払い、勇気を持って決断する──その積み重ねが、人生や経営の未来を切り拓くのではないでしょうか。

「『道をひらく』(松下幸之助著)を読む38」➩

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