『道をひらく』(松下幸之助 著) を読む 05
運命を切り開くために:「手さぐりの人生」
ここでは、人生を送るうえで、慎重さや謙虚さ、そして真剣に取り組むことの重要性について語っています。
人は、初めて取り組むことには慎重になりますが、慣れたことには油断しがちです。
この章では、どんなに慣れたことでも油断せず、常に備えて行動すべきだという教えが説かれています。
実際のところ、私自身「一寸先は闇」という言葉を耳にしつつも、日常ではあまり深く考えず、漫然と過ごしていることが多いです。
特に、私はどちらかというとぼんやりとした性格なので、日々の生活ではつい油断してしまうこともしばしばです。
しかし、重要な局面や未知のことに直面したときは、逆に過度に慎重になる自分がいます。
それを強く実感したのが、社長就任という人生最大の転機を迎えたときでした。
経営者としての経験は全くなく、何も分からないままスタートしましたから、慎重にならざるを得ませんでした。
当時の先代社長は、私に細かいことは教えず、大きな方向性だけ示してくれるだけでした。
放任主義と言っても過言ではありませんでしたが、それゆえに、私は一つ一つの決断に対して慎重に向き合い、おっかなびっくりで前に進むしかありませんでした。
それでも、今になって振り返ると、この経験が私を大きく成長させたと感じます。
慎重で真剣な姿勢を持って進めたからこそ、大きな失敗を避け、さらにその過程で自分の能力も磨かれていったのです。
私にとって、経営者になったことで初めて「慎重さ」と「真剣さ」を真に学んだといえるでしょう。
もっと早くこの姿勢で人生に向き合っていたなら、きっと違う結果になっていたに違いありません。
ですから、もしあなたが「今の自分はまだ慎重さや真剣さが足りない」と感じているのであれば、それを今こそ見直すべき時です。
どんなに遅いと思っても、今この瞬間から人生を見つめ直し、慎重で真剣な生き方にシフトすることで、きっとあなたの未来は大きく変わるはずです。