『道をひらく』(松下幸之助著)を読む59 【自信を失ったときに】:「失敗か成功か」
自信を失ったときに:「失敗か成功か」
■ 百のうち一つしか成功しなかったら、それは失敗か。
人は、すべてを成功させられるわけではない。
「経営の神様」と称された 松下幸之助 でさえ例外ではない。
百の挑戦をして、一つだけ成功し、残り九十九はうまくいかなかった。
これは、失敗だろうか。成功だろうか。
多くの人はこう考える「一つしか成功しなかった。やはり失敗だ」と。
そして意欲を失い、挑戦そのものをやめてしまう。
この瞬間、ほんとうの失敗が確定する。
■ 成功した“一つ”を見るか、失敗した“九十九”を見るか
松下氏の視点は違う。
見るべきは、成功した一つだという。
なぜ、それは成功したのか、何が正しかったのか、どんな条件が揃っていたのか。
そこには再現可能なヒントがある。
成功した一つは、偶然ではない。
九十九の失敗の中から掘り当てた「金脈」だ。
その金脈を足がかりに、もう一度九十九に挑む。
そうすれば、成功の確率は確実に高まる。
■ 失敗に囚われると、視野は閉じる
振り返れば、私たちはどうしても失敗のほうに心を奪われがちだ。
なぜ失敗したのか、どこが悪かったのか、どう責任を取るのか。
もちろん検証は必要だ。
だが、失敗だけを見つめ続ければ、視野は縮み、勇気は萎む。
一方で、成功の分析はどうだろう。
なぜうまくいったのか、どの判断が正しかったのか、どの強みが活きたのか。
成功には、未来を切り開くエネルギーがある。
■ 「失敗か成功か」という問いを超える
本質は、ラベルではない。
失敗か成功かと悩むこと自体が、思考を止める。
大切なのは、次にどう活かすかである。
成功した一つに希望を見出し、そこから再現性を抽出し、再挑戦する。
この循環が回り始めたとき、九十九の失敗はもはや失敗ではなく、成功への材料になる。
■ 厳しい時代を生き抜くために
これからも挑戦すれば、失敗は起きる。
むしろ、挑戦する限り失敗は避けられない。
だが、そこでくよくよするのか、それとも成功の芽を探すのか。
成功した一つに目を向け、「よし、もう一度やろう」と立ち上がれるかどうか。
それが、経営者にも、ビジネスパーソンにも問われている。
百のうち一つ成功したなら、それは「可能性が証明された」ということだ。
可能性が一度でも証明されたなら、あとは磨き、拡張し、繰り返せばいい。
失敗か成功か。
答えは、結果ではなく、どちらに目を向けるかで決まる。