『道をひらく』(松下幸之助 著) を読む 02
運命を切り開くために:「道」
本書の冒頭章は「運命を切り開くために」です。
そして、最初のタイトルは「道」です。
ここには「自分に与えられた道」「天与の尊い道」「自分だけにしか歩めない」「二度と歩めぬかけがえのないこの道」といった言葉が並んでいます。
松下幸之助氏は、人生を「道」として語っていることがここから読み取れます。
そして、「道=人生」は決して平坦ではなく、多くの試練が待ち構えているものだと述べています。
私もこれまでの人生で、さまざまな問題に直面し、そのたびに迷いながらも乗り越えてきました。
ですが、どんなに厳しい状況でも、あきらめようと思ったことは一度もありませんでした。
特に経営者になってからは、多くの社員の生活がかかっており、すべてを投げ出すという選択肢は存在しなかったのです。
問題を解決したときの達成感が、次の課題に向かう力になっていました。
そもそも、私が経営者になることは想定外でした。
しかし、その役目を引き受けざるを得なくなったとき、「所詮、この道しかないのではないか」という思いが心のどこかにあったのです。
それでも、経営者としての経験がなかったため、毎日が手探りで、恐る恐るの状態が続いていました。
「心を定め、懸命に歩まねばならぬ」という幸之助氏の教え通り、覚悟を決めて堂々と進むことができなかった点は、反省すべきところです。
会社は常に動いており、経営者はじっとしているわけにはいきません。
この章の最後に「休まず歩む姿からは、必ず新たな道がひらけてくる」という幸之助氏の言葉があります。
振り返ると、日々迷いながらも、結果的に少しは幸之助氏の教えに沿った生き方ができていたのではないかと感じています。