【生きがいのある人生のために】:「真実を知る」

■人は、見方ひとつで世界を変えてしまう

松下幸之助氏は、人間には物事をどうにでも解釈できる力がある、と説いています。
同じ出来事でも、「試練」と見るか「成長の機会」と見るかで、その意味は大きく変わります。
つらいことも、見方を変えれば希望になるし、逆に、恵まれた状況にあっても、悲観すれば苦しみになります。
人間には、ものの見方によって自らの現実をつくり変える力があります。
しかし、だからといって、現実そのものをねじ曲げてよいわけではありません。

■解釈の前に、まず真実をつかむ
幸之助氏が強調しているのは、「どう考えるか」の前に、「何が事実なのか」を知ることです。
どれほど前向きな解釈をしようとも、その土台となる真実を見誤れば、判断は必ず狂います。
耳ざわりのよい言葉や、その場しのぎの慰めだけでは、人は本当の意味で救われません。
時には厳しい現実を伝えることも必要です。
相手が落胆するかもしれないからと真実を伏せるのは、優しさではなく甘さです。
真実を知ってこそ、人は正しく考え、適切に行動できます。
それが、本当の思いやりなのです。

■真実を語ることが信頼を生む
表面的な言葉のやり取りでは、深い信頼関係は築けません。
人と人との関係において最も大切なのは、互いに真実を語り合えることです。
都合の悪いことも率直に伝え、相手の真意にも耳を傾ける、その誠実な積み重ねが、信頼を育てます。
真実は、ときに耳に痛い。
しかし、その痛みを避けていては、成長も前進もありません。
幸之助氏が説く「真実を知る」とは、単なる事実確認ではなく、現実をありのままに受け止める勇気を持つことなのです。

■リサーチの仕事が教えてくれたこと
私は長年、コンサルティングリサーチの仕事に携わってきました。
この仕事の本質は、まさに「真実を知り、それを正確に伝えること」にあります。
調査結果が、クライアントにとって厳しい内容であることも少なくありません。
しかし、そこで事実を歪めたり、都合よく解釈したりすれば、その後の経営判断を誤らせてしまいます。
どれほど耳の痛い結果であっても、ありのままを伝える、それが、私たちに課せられた責任です。
その誠実さがあるからこそ、信頼が生まれ、次の一手につながるのです。

■真実に向き合う者だけが道をひらく
人生でも仕事でも、現実から目をそらした瞬間に、成長は止まります。
都合のよい幻想に逃げず、厳しい現実にも正面から向き合う、そして、その真実をもとに、どう歩むかを考える、それこそが、自ら道をひらく者の姿勢です。

『道をひらく』(松下幸之助著)を読む111➩

⇦『道をひらく』(松下幸之助著)を読む109


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