【仕事をより向上させるために】:「力をつくして」

■仕事の喜びはどこから生まれるのか
本当の仕事の喜びとは何でしょうか。
上司に褒められたときでしょうか、お客様に感謝されたときでしょうか、もちろん、それらも嬉しいことには違いありません。
しかし松下幸之助氏は、それだけではないと言います。
仕事の本当の喜びは、自分の持てる力をすべて注ぎ込み、精魂を尽くしてやり終えたその瞬間に生まれるものだと説いています。
「あれだけやったのだから悔いはない」そう胸を張って言えるとき、人は深い充実感に包まれます。
それは誰かから与えられる評価ではありません。
自分自身の内側から湧き上がってくる、揺るぎない満足感です。

■力を尽くした者だけが味わえる充実
全力で仕事に向き合った一日は、たとえ疲れていても清々しいものです。
食事は美味しく感じられ、心は穏やかになり、一日を振り返ったときに「よくやった」と素直に自分を認めることができる。
そこには、静かな達成感があります。
そして最後には、「人事を尽くして天命を待つ」という境地に至る。
結果がどうであれ、自分にできることをすべてやったという確信があるからこそ、心は安らぐのです。
仕事の喜びとは、成功や失敗を超えたところにあります。
力を尽くしたという事実そのものが、最大の報酬なのです。

■評価よりも大切なもの
私たちはつい、仕事の成果を外からの評価で測ろうとします。
売上が上がったか、褒められたか、認められたか、もちろん、それらは大切です。
しかし、それだけを喜びの基準にしてしまうと、評価されなかったときに心が揺らぎます。
けれど、「自分は力を尽くした」と言い切れるなら、他人の評価に左右されることはありません。
本当に問われるべきなのは、結果そのものではなく、そこに至るまでにどれだけ真剣に向き合ったかです。
仕事の価値は、まず自分自身の姿勢によって決まるのです。

■慣れが熱意を奪う
私自身、経営を始めた頃は、とにかく必死でした。
何もかもが初めてで、一つひとつに全力で向き合っていました。
毎日、精魂尽き果てるまで考え、悩み、走り回っていたものです。
だからこそ、多くの困難を乗り越えることができたのだと思います。
しかし、人は慣れる生き物です。
経営にも少しずつ慣れ、余裕が出てくると、どうしても気の緩みが生まれます。
「これくらいでいいだろう」、そんな油断が、失敗や停滞を招きます。
そして何より恐ろしいのは、仕事そのものへの充実感が薄れていくことです。
慣れは効率を生みますが、同時に情熱を奪う危険もある。
ここを見誤ってはならないのです。

■初心に返り、力を尽くす
経営も仕事も、決して惰性で取り組んでよいものではありません。
状況は日々変わり、市場も環境も、人の思いも絶えず変化しています。
その中で成果を出し続けるには、毎日を新しい挑戦として受け止める姿勢が必要です。
だからこそ、常に初心に返らなければなりません。
今日という一日に、自分の持てる力を出し切ったか、心から「よくやった」と言える仕事ができたか、この問いを、自らに厳しく投げかけ続けることです。

■喜びは自らつくるもの
仕事の喜びは、誰かが与えてくれるものではありません。
それは、自ら力を尽くした者だけが手にできるものです。
全力で働き、全力で考え、全力で向き合う、その積み重ねが、確かな充実感を生みます。
そしてその充実感こそが、明日への活力となり、さらによい仕事へとつながっていくのです。
仕事の喜びは外にはありません。
それは、自らの心の中に生まれるものです。
だからこそ、今日もまた力を尽くす。
そこにこそ、働くことの本当の価値と喜びがあるのです。

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