ともによりよく生きるために:「人間だけが」

この世界は、人と人との**「約束」**によって成り立っています。
松下幸之助氏は、そう断言しています。
約束といっても、その形はさまざまです。
■友人との待ち合わせ
■取引先との契約
■社会を支える法律
これらすべては、私たちがスムーズに生活し、社会を機能させるために不可欠な「約束事」です。
そして、松下氏はさらにこう指摘します。
「約束を守ることこそ、人間だけが持つ高い精神性の証である」
確かに、動物の世界では本能に従って生きるのみで、「約束」という概念はありません。
一方、人間は自らの意志で約束を交わし、それを守る責任を負う。
この「約束を守る精神」が弱まればどうなるでしょうか?
社会全体の秩序が崩れ、信用が失われ、ビジネスの世界でも混乱が生じます。

『ビジネスは「約束」で成り立っている』
仕事をしていると、日々の業務のほとんどが約束の積み重ねであることに気づきます。
■いつまでに部品を納品するか
■いつまでに支払いを完了するか
■何時に会議を開くか
■いつまでに決断を下すか
これらの約束が守られることで、初めて仕事はスムーズに進みます。
しかし、もし約束が破られたら?
たった一つの遅延や違反が、大きなトラブルを生み、信頼関係を損なうこともあります。
その影響は、時に事業の存続を左右するほど重大なものになりかねません。

『「約束を守る人」になるという決意』
私たちは、相手には約束を守ることを求める一方で、自分自身は都合によって約束を守れないこともあります。
松下氏は、ここにこそ問題があると指摘します。
それは、単なるルールの問題ではなく、精神性の問題だからです。
約束を守るということは、単なる義務ではなく、人間としての誇りであり、品格でもあります。
どんな状況であっても、約束を違えない。
それが、人としての信頼を築く鍵なのです。

『「人間だけが持つ力」を磨く』
松下氏は、こうした約束を守る精神こそ、他の動物にはない、人間だけが持ち得る力だと強調しています。
ビジネスの成功は、知識やスキルだけでなく、「約束を守る力」にかかっています。
約束を守ることで信用を築き、信頼が生まれ、結果として事業も発展する。
約束を守ることを、単なる義務としてではなく、人としての高い精神性の証として捉える。
そうした意識を持ち続けることが、長く成功し続けるための鍵ではないでしょうか。

「『道をひらく』(松下幸之助著)を読む34」➩

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