『道をひらく』(松下幸之助著)を読む61 【自信を失ったときに】:「絶対の確信」
【自信を失ったときに】:「絶対の確信」
■ 「自信を持て」と言われて苦しくなる人へ
仕事でも人生でも、よくこう言われる。
「もっと自信を持ちなさい」「自信を持って進めば道は開ける」
たしかに、消極的でおどおどしていては、できることもできなくなる。
だから私たちは、「自信がなければ成功できない」と思い込みがちだ。
だが、ここで一つ立ち止まって考えたい。
この世に、絶対の確信など本当に存在するのだろうか。
■ 世の中に「絶対」はない
市場は変化する、環境も変わる、人の価値観も移ろう。
昨日まで正しかった判断が、今日は通用しないこともある。
そんな不確実な世界で、「絶対に間違いない」と言い切れることなど、ほとんどない。
それにもかかわらず、絶対の自信を持とうとするから苦しくなる。
松下幸之助 の教えは明快だ。
絶対の確信を求めるのではなく、迷いながらも、精いっぱい考え抜くこと。
そこにこそ、本当の強さがある。
■ 本当に強い人は、迷わない人ではない
私たちは、ときに自信満々に見える人をうらやましく思う。
経営者になりたての頃の私は、まさにそうだった。
ベテラン経営者たちは堂々として見えた。
判断も早い、言葉にも迷いがない。
「すごいな。あんなふうに確信を持てたら」そう思っていた。
だが、長く見ていると分かる。
どんなに自信に満ちて見える人でも、失敗しないわけではない。
むしろ、自信が強すぎるがゆえに、慎重さを失い、大きな判断ミスをすることもある。
■ 自信がないことは、弱さではない
振り返れば、私は大胆に突き進むタイプではなかった。
迷った、悩んだ、本を読み、人に聞き、何度も考えた。
当時は、それを弱さだと思っていたが、だが今になって思う。
その慎重さがあったからこそ、大きな失敗を避けることができたのではないか、と。
自信がないからこそ、よく調べる、深く考える、丁寧に確認する。
それは決して欠点ではない。
むしろ、不確実な時代を生き抜くための強みになりうる。
■ 自分を励ましながら進めばいい
大切なのは、自信満々な態度を装うことではない。
心細さを抱えながらでも、自分を励まし、一歩ずつ進むことだ。
「これでいいのか」と悩みながらも、考え抜き、歩みを止めない。
その積み重ねが、やがて本物の自信へと変わっていく。
■ 成功に近づく人の共通点
本当に成功に近づく人は、最初から絶対の確信を持っていた人ではない。
迷いを抱えながらも、謙虚に学び、考え抜き、一歩を重ねた人だ。
絶対の確信がなくてもいい。
むしろ、ないほうがいいのかもしれない。
確信がないからこそ、人は考える。
考えるからこそ、成長する。
自信を失ったときこそ思い出したい。
成功への道は、確信から始まるのではない。
考え抜く誠実さから始まる。