『道をひらく』(松下幸之助著)を読む64 【自信を失ったときに】:「窮屈はいけない」
【自信を失ったときに】:「窮屈はいけない」
■ 固まった瞬間、人は動けなくなる
松下幸之助 は、「窮屈はいけない」と説く。
これは単に、窮屈な服装や狭い場所を避けようという話ではない。
心も体も固まり、自由を失った状態を戒めているのである。
身体がこわばれば、動きは鈍くなる。
長時間同じ姿勢でいれば血流は滞り、動くことそのものが億劫になる。
そして、それは心も同じだ。
考え方が固まり、固定観念に縛られ、「こうあるべき」に囚われた瞬間、私たちは変化に対応できなくなる。
■ 変化の時代に硬直は致命傷になる
世の中は、刻々と変化している、昨日の常識が、今日は通用しない。
成功法則も、時代が変われば通用しなくなる。
市場も、技術も、人の価値観も、絶えず動いている。
それなのに、自分だけが昨日のままでいたらどうなるか。
当然、取り残される。
変化する世界に対して、固定的な考え方しか持てない人は、新しい仕事にも、予期せぬ課題にも対応できない。
これは個人にも、組織にも言える。
■ 私たちの身体さえ、日々変わっている
よく考えてみれば、この世に止まっているものなどほとんどない。
私たちの身体でさえ、絶えず新陳代謝を繰り返している。
数年前の自分を形づくっていた細胞は、ほとんど入れ替わっている。
自然界のすべてが変化し続けているのに、考え方だけを固定したままでいるのは、むしろ不自然なことなのかもしれない。
変化することは特別なことではない。
変わらないことのほうが、よほど無理をしている状態なのである。
■ 固定観念を手放したとき、道は開ける
私自身、経営者になった当初、まさにその「窮屈さ」に苦しんだ。
それまでの経験や常識では、対応しきれない状況が次々に起こった。
どう判断すればいいのか、何が正しいのか、戸惑いの連続だった。
振り返れば、私を苦しめていたのは状況そのものではなく、「こうでなければならない」という自分の思い込みだった。
それに気づき、少しずつ考え方をほぐしていった。
人の意見を素直に聞く、新しい視点を受け入れる、従来のやり方を疑ってみる。
そうするうちに、見える景色が変わっていった。
そして、対応できることが増えていった。
■ 自由な心が、本来の力を引き出す
人間は、自由を奪われると力を発揮できない。
それは外から与えられる制約だけではない。
自分自身がつくり出す思い込みや固定観念もまた、大きな足かせになる。
「自分には無理だ」「今までこうだった」「これが正解だ」、そうした窮屈な考えは、可能性を狭めてしまう。
反対に、心がのびのびとしていれば、発想は広がり、行動はしなやかになる。
柔軟さは、変化に対応するための武器である。
■ 窮屈さを脱ぎ捨てる
自信を失ったときほど、人は身構え、縮こまりやすい。
失敗を恐れ、守りに入り、ますます窮屈になる。
だが、そんなときこそ思い出したい。
固まったままでは、新しい道は見えない。
少し肩の力を抜く、少し見方を変える、少し違う考えを受け入れてみる。
その柔らかさが、次の一歩を生み出す。
窮屈さを捨て、自由な身と心でいること。
それが、変化の時代をしなやかに生き抜く力になる。