日々を新たな視点で迎えるために:「日に三転す」

松下幸之助氏の言葉、「一転二転は進歩の姿、さらに三転よし、四転よし、そこに生成発展がある」は、経営者として多くの決断を下す立場にいる者にとって、大きな救いをもたらします。
私たちはしばしば、決断を変えることを「優柔不断」や「迷い」と捉えがちです。
しかし、松下氏はそれをむしろ進歩の証であり、成長の過程であると教えてくれます。

『「決断を変える」ことへの恐れ』
経営者としての道を歩み始めた頃の私は、決断を変えることに対して強い抵抗感を抱いていました。
一度出した方針を頻繁に変えることは、社員の混乱を招き、リーダーとしての信頼を損なうのではないかという不安が常につきまといました。
特に、経営経験ゼロの私にとって、日々の仕事で即座に指示を出さなければならないプレッシャーは大きく、最初の決断が間違っていたと感じても、それを訂正する勇気を持てないことがありました。
幸い、大きな問題に発展することはありませんでしたが、自分自身に対する失望感が心に残りました。
「やはり自分は経営者には向いていないのではないか」という思いが、しばしば私を悩ませました。

『「二転三転」を肯定する理由』
そんな私にとって、「決断が二転三転することは良いことだ」という松下氏の言葉は、大きな励ましとなりました。
ただし、これは軽率に決断を覆すことを推奨しているわけではありません。
むしろ、熟考の末に出した結論であっても、新たな情報や状況の変化によって判断基準が変わるのであれば、それに応じて柔軟に方針を変えるべきだ、ということなのです。
松下氏はこれを「万物流転の理」、つまり宇宙の法則として説明しています。
すべてのものが常に変化し続けるように、人間の細胞が日々新しく生まれ変わるように、企業もまた、得られる情報や外部環境の変化に応じて、生まれ変わるように変化し続けるべきだという教えです。

『変化を恐れず、柔軟性を持つ経営』
経営者にとって重要なのは、決断を変えること自体ではなく、その変化がより良い結果を生むためのものであることです。
柔軟性を持ち、環境や状況に即した最善の選択を重ねていくことで、企業も個人も成長していくことができるのです。
松下氏の言葉を借りれば、「三転よし、四転よし」という態度こそ、生成発展の鍵となります。
変化することを恐れず、新しい情報や変化に基づいて行動を修正することで、真の成長と進化が実現されるのです。

『あなたの決断も「日に三転」していますか?』
今、あなたが直面している課題や決断は、周囲の環境や情報の変化を反映しているでしょうか?
過去に出した決断に固執するのではなく、常に進化し続ける「柔軟性」を意識してみてください。
変化を受け入れ、前進し続けること。
それが、成功をつかむ経営者の本質ではないでしょうか。

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⇦「『道をひらく』(松下幸之助 著)を読む 18」


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