『道をひらく』(松下幸之助著)を読む30
ともによりよく生きるために:「生かし合う」
私たち人間にとって、命は何よりも尊いものです。
松下幸之助氏は、その尊さを深く理解し、互いに尊重し合うことが大切だと説いています。
自分の命が大切なのは誰しも分かっています。
しかし、それと同じように「他者の命もまたかけがえのないもの」であることを、私たちは時に忘れてしまいがちです。
社会が繁栄するためには、お互いを尊重し、生かし合う姿勢が欠かせません。
そのために、私たちは「まず相手を立てる」という姿勢を持つことが求められるのです。
『自分を優先するか、相手を尊重するか——人間関係の分かれ道』
多くの人は、無意識のうちに「自分の利益」を優先してしまいます。
仕事でも、プライベートでも、つい「自分の都合」を基準に考えてしまうものです。
私自身、これまでの人生を振り返ると、相手を立てるどころか自分本位に物事を進めていたことが多かったように思います。
特に仕事の場面では、「いかに自分が有利に交渉を進めるか」に意識が向いていました。
しかし、松下氏の言葉に触れ、その考えが根本から間違っていたことに気づきました。
自分の利益ばかりを追求すれば、相手の利益が損なわれ、関係性が壊れてしまう可能性があるからです。
『取引は「勝ち負け」ではなく「生かし合う」もの』
例えば、ビジネスの交渉において、こちらの条件だけを押し通そうとすれば、相手は不利益を被ります。
そして、そうした一方的な取引は、長続きすることはありません。
では、どうすればよいのか?
■まず、相手の立場や条件を理解し、耳を傾ける
■相手の利益を考慮しながら、自分の条件とのバランスを探る
■互いに納得できる「最適な折り合い点」を見つける
こうした「生かし合う姿勢」を持つことで、取引はただの「駆け引き」ではなく、「共に成長する場」へと変わっていくのです。
『まず相手を生かすことで、自分も生かされる』
松下氏は、「まず相手が生きるようにすれば、自分も生きることができる」と述べています。
これは、単なる道徳論ではなく、成功の本質です。
■相手を生かせば、相手もまた自分を生かそうとする
■信頼関係が築かれ、より良い結果が生まれる
■その積み重ねが、繁栄・平和・幸福へとつながる
すべての命はかけがえのないもの。
だからこそ、私たちは「生かし合う」生き方を選ぶべきなのです。
その第一歩は、「まず自分から相手を立てる」こと。
そうすることで、社会はより豊かになり、私たち自身の人生も充実したものになっていくのではないでしょうか。