『道をひらく』(松下幸之助著)を読む122 【国の道をひらくために】:「覚悟はよいか」
【国の道をひらくために】:「覚悟はよいか」
■人生は、つねに「覚悟はよいか」と問うている
松下幸之助氏は、「覚悟はよいか」という問いは、特別な場面だけに突きつけられるものではないと説いています。
人生のあらゆる局面で、この問いは刻々と私たちに向けられている、それが氏の見方です。
私たちは日々、何気なく暮らしています。
しかし一歩外に出れば、事故や災害、事件、予期せぬ出来事がいつ起こっても不思議ではありません。社会も世界も、決して安定しきったものではないのです。
だからこそ、「何が起きても受け止める」という覚悟を、日頃から自らに問い続ける必要があります。
■覚悟がある人は、うろたえない
覚悟とは、ただ身構えることではありません。
何が起きても冷静に受け止め、最善の判断を下すための心の準備です。
覚悟が定まっている人は、不測の事態に直面しても慌てません。
状況を見極め、なすべきことを見失わないのです。
反対に、覚悟のない人は、いざという時に立ちすくみます。
判断を先送りし、対応が遅れ、その結果として事態をさらに悪化させてしまう。
人生において、本当に問われるのは能力よりも、腹が据わっているかどうかです。
■重大な決断には、必ず覚悟がいる
覚悟の重みを痛感するのは、人生の岐路に立ったときです。
私自身、会社の経営を引き継ぐか、それとも去るかという決断を迫られたことがありました。
当時の会社は厳しい経営状況にあり、多くの課題を抱えていました。
業績は低迷し、借入もあり、先行きは決して明るくなかった。
その経営を引き受けるということは、責任もリスクもすべて背負うということです。
あの時必要だったのは、知識や経験以上に「やる」と腹を決める覚悟でした。
覚悟とは、逃げ道を断ち、自らの選択に責任を持つことです。
■いまこそ、覚悟を問い直すとき
松下氏がこの言葉を記した時代も、社会は不安定でした。
そして現代もまた、世界情勢、経済、自然災害など、先を見通しにくい時代にあります。
むしろ、変化の激しさは増していると言えるでしょう。
こうした時代だからこそ、「その時が来たら考える」という姿勢では遅いのです。
何かが起きてから覚悟を決めるのではなく、何が起きても向き合える自分を日頃からつくっておく必要があります。
■覚悟ある人生が、道をひらく
松下幸之助氏の問いかけは、極めてシンプルです。
「覚悟はよいか」、この問いに即座に「はい」と答えられるかどうか。
それが、その人の生き方の深さを決めます。
覚悟ある人だけが、困難の中でも進むべき道を見失わない、覚悟ある組織だけが、変化を乗り越えられる、覚悟ある国民だけが、国の未来を切りひらける。
人生も、経営も、国家も、最後に問われるのは覚悟です。
この問いを、日々自らに投げかけながら生きていきたいものです。