『道をひらく』(松下幸之助著)を読む47
みずから決断を下すときに:「根気よく」
目先の速さより、「ゆっくり続ける力」
松下幸之助氏は、どんな時代であっても「根気よく、コツコツと、辛抱強く仕事を続けることの大切さ」を説いています。
これは、私にとって実に耳の痛い言葉です。
私はもともと落ち着きがなく、飽きっぽい性格でした。
子どもの頃から新しい遊びにすぐ手を出しては、飽きて次へと移る。
大人になってもその癖は抜けず、経営の世界に入ってからも、「じっくり計画して、長くやり抜く」ということがどうにも苦手でした。
それでも、幸運にも多くの仲間に支えられ、経営者としてなんとかやってこられた。
しかし今振り返ると、もし私にもっと“根気”があったなら、得られた成果はもっと大きかったのではないかと思うのです。
「速さ」ばかりを追う時代への警鐘
現代はスピードの時代です。
「即断・即決・即成果」がビジネスの常識になり、企業も個人も短期間で結果を求められます。
けれど、松下氏はこう戒めます。
「いかに正しいと思うことでも、いたずらに事を急いではならない」
どんなに正しい考えでも、それが人々に理解され、成果として実を結ぶには時間がかかる。
だからこそ、“待つ勇気”と“続ける覚悟”が求められるのです。
周囲から「遅い」「古い」「要領が悪い」と言われても、あえて地道に進み続ける人こそ、最終的に大きな成果を掴む。
それが松下幸之助氏の言う「根気の力」なのです。
私たちが学ぶべき「根気力」の実践法
1. 成果を焦らず、プロセスを信じる
- 「いつ結果が出るか」ではなく、「正しい方向に進んでいるか」を見極める。
2. 小さな努力を“毎日”続ける
- 根気は一気に生まれない。日々の小さな積み重ねが、やがて不動の信頼を築く。
3. 比べない・急がない・投げ出さない
- 他人のペースではなく、自分のリズムで粘り強く取り組む。
「愚直さ」が最後に勝つ
松下幸之助氏は言います。
「正しいことであれば、いつかは必ず人々に理解してもらえる」
すぐには評価されない。結果が出ない。
それでも、諦めずに歩み続けること。
その姿こそが、時代を超えて尊ばれる“本物のビジネスパーソン”の姿ではないでしょうか。