【自主独立の信念をもつために】:「もっと平凡な」

■成功の本質は、平凡の徹底にある
松下幸之助氏は、「当たり前のことを、当たり前にやる」ことの重みを説いています。
朝起きたら顔を洗う、人に会ったら挨拶をする、何かをしてもらったら「ありがとう」と言う、散らかしたものは自分で片づける。
どれも、特別な才能を必要とすることではありません、誰にでもできる、ごく平凡なことです。
しかし、松下氏はここにこそ、人としての成長と繁栄の土台があると見抜いていました。
人は往々にして、難しいこと、大きなこと、華やかなことに価値を見出しがちです。
けれども、真の繁栄とは、そうした特別な営みの中にあるのではありません。
むしろ、誰もが知っている当たり前を、愚直に積み重ねるところから生まれるのです。

■理屈をこねるほど、本質から遠ざかる
平凡なことを疎かにするとき、人は必ず理由をつけます。
「自分がやる必要はない」「これくらい問題ない」「忙しいから仕方ない」、もっともらしい理屈はいくらでも並べられます。
しかし、ここに理屈は不要です。
なすべきことは、ただなす、それだけです。
自然界を見ればよくわかります。
水は高いところから低いところへ流れ、春が過ぎれば夏が来て、秋から冬へと移り変わる。
そこに言い訳も例外もありません。
自然は、当たり前を淡々と果たしています。
人間もまた、この自然の摂理に学ぶべきでしょう。
余計な理屈を挟まず、なすべきことを素直に実行する、その積み重ねこそが、揺るぎない信頼と成果を築いていくのです。

■大きな仕事は、小さな習慣の上に成り立つ
どれほど大きな仕事も、その土台には小さな日常があります。
挨拶をきちんとする、約束を守る、整理整頓を怠らない、感謝を言葉にする、こうした平凡な行いを軽んじる人に、大きな責任を果たすことはできません。
なぜなら、仕事の質とは、日常の姿勢そのものだからです。
目立つ成果だけを追いかける人は、足元を見失います。
一方で、地味で些細なことを丁寧に積み重ねる人は、やがて確かな力を身につけます。
平凡を制する者が、非凡を成し遂げるのです。

■私自身が学んだこと
私自身を振り返ってみても、この教えの重みを痛感します。
幸い、挨拶や礼を尽くすことについては、それなりに意識して実践してきたつもりです。
しかし、忙しさに追われているときや、別のことに気を取られているときには、つい反応が遅れたり、気づかずに通り過ぎてしまったりすることがあります。
そんなとき、「当たり前のことほど難しい」と改めて思い知らされます。
平凡なことは、簡単だからこそ軽視されやすい、そして軽視された瞬間から、仕事にも人間関係にもほころびが生まれます。
だからこそ、ときどき立ち止まり、自分は当たり前をきちんと果たしているかを省みる必要があります。

■繁栄への道は、もっと平凡なところにある
松下幸之助氏が伝えたかったのは、特別な成功法則ではありません。
もっと地に足のついた、ごく当たり前の真理です。
派手な戦略よりも、日々の誠実さ、奇抜な発想よりも、基本の徹底、繁栄への道は、案外もっと平凡なところにあります。
その事実を見失わず、今日できる当たり前を、今日きちんとやる。
それこそが、自主独立の信念を育て、確かな未来を切りひらく最も確実な道なのだと思います。

『道をひらく』(松下幸之助著)を読む107➩

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