【自主独立の信念をもつために】:「わが身につながる」

■世の中の出来事は、決して他人事ではない

松下幸之助氏のいう「わが身につながる」とは、世の中で起こるあらゆる出来事は、巡り巡って自分自身に関わってくる、という意味です。
私たちは社会の中で、人と人とのつながりの中に生きています。
一見すると自分には無関係に思えることでも、必ずどこかで自分と結びついています。
にもかかわらず、人は都合の悪いことが起こると、つい他人のせいにしたくなるものです。
「あれは自分には関係ない」「悪いのは相手だ」、そう考えれば、一時的には気が楽になるでしょう。
しかし、その姿勢では何も解決しません。

■責任を押しつけ合う社会に発展はない
もし誰もが「自分には責任がない」と言い張ったら、どうなるでしょうか。
責任の押しつけ合いが始まり、信頼は崩れ、組織も社会も立ち行かなくなります。
確かに法律や制度の上では、「自分に直接の責任はない」という場面もあるでしょう。
けれども、社会は理屈だけでは成り立ちません。
人と人が関わり合って生きている以上、どんな問題にも何らかの形で自分が関わっている可能性がある。その視点を持つことが、成熟した社会人としての責任感を育てるのです。
松下氏は、まさにこの「自分ごととして受け止める姿勢」の大切さを説いています。

■反省する人だけが成長する
私自身、これまでの経営人生を振り返ると、「相手に原因がある」と感じた出来事は数えきれません。
けれども、冷静に振り返ってみると、その遠因をつくったのは自分だったのではないかと思うことが少なくありません。
自分の言葉が足りなかった、態度に配慮が欠けていた、判断が甘かった、そう考えると、相手の反応もまた当然だったと思えることがあります。
他人を責めるのは簡単です。
しかし、自らを省みることこそ、本当の成長につながります。

■「自分にも責任がある」という覚悟を持つ
すべてを自分の責任として背負い込め、と言っているのではありません。
大切なのは、「この問題に自分は本当に無関係か」と問い直す姿勢です。
その一歩が、深い反省を生みます。
反省は責任感を育てます、責任感は行動を変えます、そして、その行動が周囲を変えていくのです。
「わが身につながる」という自覚を持つ人は、責任から逃げません。
社会も組織も、そうした人によって支えられています。
松下幸之助氏のこの教えは、自主独立とは単なる自己完結ではなく、社会とのつながりの中で責任を果たす覚悟であることを、私たちに教えているのです。

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