【自主独立の信念をもつために】:「己を知る」

■勝敗を分けるのは、まず自分を知ること

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」。
古くから語り継がれるこの言葉を、松下幸之助氏はさらに一歩深めて説いています。
敵を知ることはもちろん重要です、しかし、それ以上に大切なのは「己を知ること」だというのです。
相手の力をどれだけ分析しても、自分自身の実力や限界を把握していなければ、戦いに勝つことはできません。
むしろ、自分を知らないまま挑む戦いは、無謀以外の何ものでもありません。
松下氏は、自らを知らぬ者は連戦連敗するとまで言い切っています。
勝敗の根本原因は、多くの場合、自分自身の中にあるのです。

■人は外ばかりを見てしまう
仕事でも同じです。
私たちはつい、競合や市場、相手の動向ばかりに目を向けがちです。
もちろん、それらを知ることは必要です、しかし、それにばかり労力を費やし、自分自身への理解が浅ければ、判断は必ずぶれます。
相手を知ることは比較的容易です。
情報を集めれば、ある程度見えてきます。
ところが、自分を知ることは難しい。
自分の強み、弱み、限界、判断の癖、思考の偏り、それらを正確に見つめるには、相当の冷静さと勇気が必要です。
だからこそ、多くの人がそこから目をそらしてしまうのです。

■敗因は多くの場合、自分の中にある
何かに失敗したとき、人は外部要因に原因を求めたくなります。
相手が悪かった、環境が悪かった、タイミングが悪かった、もちろん、それもあるでしょう。
しかし松下氏は、まず「敗因は我にあり」と考えよと教えています。
その視点がなければ、人は成長できません。
失敗を外に押しつける限り、自分を変えることができないからです。
己を知るとは、耳の痛い現実を受け入れることでもあります。

■私自身、己を知る努力が足りなかった
振り返れば、私も仕事をするなかで、自分自身を深く見つめる時間が十分ではなかったように思います。
どうしても外に意識が向きます。
市場を見て、相手を見て、課題を見て、次の仕事を考える、しかしその一方で、「自分には何ができるのか」「どこに限界があるのか」「何を得意とし、何を不得手としているのか」を、じっくり見つめる機会は少なかったのです。
これは大きな反省点です。

■己を知る者だけが、正しく戦える
自分を知れば、無理な勝負を避けられます。
逆に、自分の強みを活かせる場面では、迷わず踏み込めます。
それが安定した成果につながります。
仕事とは、やみくもに挑むものではありません。
自らを正しく知り、そのうえで相手と向き合うことで、はじめて的確な判断ができるのです。

■すべては「己を知る」ことから始まる
松下幸之助氏の教えは明快です。
外を見る前に、自分を見よ。
敵を知る前に、己を知れ。
自分の実力を知り、自分の限界を知り、自分の可能性を知る。
その土台があってこそ、正しい戦略も、確かな成果も生まれます。
仕事でも経営でも、出発点はいつも同じです。
まず、自分自身を知ること、そこからすべてが始まるのです。

『道をひらく』(松下幸之助著)を読む101➩

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