【自主独立の信念をもつために】:「後生大事」

■仕事は“片手間”では成し遂げられない

松下幸之助氏は、仕事に対して「後生大事」に取り組むことの大切さを説いています。
ここでいう「後生大事」とは、ただ大切に扱うという意味ではありません。
全身全霊を傾け、一心不乱に打ち込む姿勢のことです。
仕事で成果を上げるには、自分の持てる知恵と能力を最善のかたちで発揮しなければなりません。
しかし、それは中途半端な取り組みでは決して実現しません。
真に力を発揮できるのは、仕事に深く没入し、自らをそこに投じたときだけです。

■賢さだけでは仕事は成就しない
松下氏は、賢い人ほど陥りやすい落とし穴にも触れています。
頭の回る人は、ともすると批評や分析が先に立ち、仕事そのものに没頭できないことがあります。
「もっと良いやり方があるのではないか」「これは本当に意味があるのか」と考えすぎるあまり、一歩を踏み出せなくなるのです。
知恵は大切です、しかし、知恵だけでは成果にはつながりません。
仕事を動かすのは、最後は泥くさくてもやり抜く執念です。
能力の有無を嘆く前に、まず全力で取り組むこと、そこに仕事の真価があります。

■私が経営で学んだこと
振り返れば、私にとって経営という仕事は、明らかに身の丈を超えたものでした。
決して余裕を持ってこなせたわけではありませんし、要領よく進めることもできませんでした。
常に手探りで、不安を抱えながら進んでいたのが実情です。
だからこそ、持てる力をすべて注ぎ込むしかありませんでした。
足りない知識や経験は、前社長や顧問税理士、先輩方、そして社員たちの知恵を借りながら補いました。
結果として、それが「後生大事」に仕事へ向き合うことだったのだと思います。

■真剣さが仕事の質を決める
会社を大きく傾けることなく今日まで続けてこられたのは、才能があったからではありません。
ただひたすら、目の前の仕事を大事にし、真剣に向き合い続けた、その積み重ねが、結果を支えてくれたのです。
仕事の質を決めるのは、能力の差ではありません。
どれだけ真剣に、どれだけ深く、その仕事に打ち込んだか、それがすべてです。

■全力で向き合った仕事は、人を育てる
松下幸之助氏の教えは明快です。
力が足りないと嘆く前に、まず仕事に全身全霊を注げ、知恵が足りなければ学べばいい、経験が足りなければ補えばいいと。
しかし、真剣さだけは誰にも借りることができません。
「後生大事」に仕事へ向き合うこと、その姿勢こそが、人を育て、仕事を育て、やがて大きな成果を生み出していくのです。

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