【自主独立の信念をもつために】:「乱を忘れず」

■安定は永遠に続かない

松下幸之助氏は、「治にいて乱を忘れず」という言葉で、順調なときほど気を引き締めよと説いています。
景気が良く、暮らしが豊かで、何もかもが順調に見えると、人はその状態がいつまでも続くと錯覚しがちです。
しかし現実は違います。人生にも経営にも、晴れの日があれば必ず雨の日があります。
盤石に見える組織であっても、いつ何が起こるかは誰にもわかりません。

■順境こそ備えるべき時である
本当に備えが必要なのは、苦しいときではなく、むしろ順調なときです。
好況に浮かれ、「このままで大丈夫だ」と安心しきった瞬間に、危機への感覚は鈍ります。
そして、いざ環境が変わったとき、何の準備もなく立ち尽くすことになるのです。
経営者に求められるのは、どんな変化が起きても動じない心構えです。
そのためには、平時から「もしも」を想定し、備えを怠らないことです。
備えがあるからこそ、乱に際しても泰然としていられるのです。

■人は安定に慣れると危機を忘れる
これは誰にとっても難しいことです。
人は安定した環境に身を置くと、その状態を当然のものと思ってしまいます。
不安や混乱を想像することを避けたくなるからです。
しかし、それこそが最大の油断です。
経営において「想定外」は許されません。
良いときにこそ、次の荒波を見据えておく、それが責任あるリーダーの姿勢です。

■危機の連続が教えてくれたこと
振り返れば、私の経営人生には「安穏」と呼べる時期はほとんどありませんでした。
毎年のように何らかの変化が起こり、幾度となく窮地に立たされました。
しかし、だからこそ常に備える習慣が身についたのだと思います。
危機が訪れることを前提に考え、対処を重ねてきた結果、大きな破綻を避けることができました。
皮肉なことに、平穏が少なかったからこそ、危機対応力が磨かれたのです。

■平時に危機を忘れない者が生き残る
松下幸之助氏の教えは、まさに経営の真理です。
順調なときにこそ足元を見つめ直し、乱れへの備えを怠らない、その姿勢が、組織を守り、未来を切りひらきます。
「治にいて乱を忘れず」。
この言葉を胸に刻み、平時にこそ次の荒波への準備を進めること。
それが、長く発展し続けるための絶対条件なのです。


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