【自主独立の信念をもつために】:「恵まれている」

■人は「足りないもの」ばかりを見てしまう

松下幸之助氏は、「自分がいかに恵まれた境遇にあるかに気づきなさい」と説いています。
人はとかく、他人と自分を比べてしまうものです。
「あの人はいい環境にいる」「自分にはもっと条件が必要だ、そうした思いが、不平や不満を生みます。
しかし、そのとき私たちは、自分自身がすでに手にしているものを見失っています。
他人ばかりを見ている限り、自分に与えられている機会や可能性には気づけません。
そして、不平不満に心を奪われれば、本来発揮できるはずの知恵や才覚まで曇ってしまうのです。
これは、自ら幸運の芽を摘み取っているのと同じです。

■感謝が知恵を生み、道をひらく
反対に、自分の置かれた環境に感謝し、「自分は恵まれている」と心から受け止められたとき、人は生き生きと働けるようになります。
感謝の心は、前向きな発想を生みます。
そこから工夫が生まれ、知恵が湧き、道が開けていくのです。
松下氏は、多くの人がこの事実に気づいていないことを指摘しています。
頭では理解していても、腹の底から実感するのは容易ではありません。
だからこそ、日々の立ち居振る舞いを正し、自らを省みる習慣が必要なのです。
感謝は、意識して育てるものです。

■私自身、恵まれていることに気づけなかった
私自身、経営を引き継いだ当初は、正直に言えば不満のほうが先に立っていました。
望んで経営者になったわけではない、なぜ自分が、この重責を担わなければならないのか、そんな思いを抱えていたのです。
しかし、時を重ね、多くの方に支えられながら仕事を続ける中で、ようやく気づきました。
会社経営を任されるということ自体が、実は極めて恵まれた機会だったのです。
誰もが得られる立場ではありません。
能力が十分とは言えない私に、その機会が与えられた。
それは幸運以外の何ものでもありませんでした。

■「恵まれている」と思えた瞬間から人生は変わる
境遇を嘆くか、恵みに気づくか、その違いが、その後の人生を大きく分けます。
どんな状況にあっても、「これは自分に与えられた機会だ」と受け止める。
そこから感謝が生まれ、力が湧き、知恵が育っていきます。
松下幸之助氏の言葉は、私たちに大切なことを教えてくれます。
恵まれているかどうかは、環境で決まるのではありません。
それに気づけるかどうかで決まるのです。
感謝の心を持てたとき、人は初めて、自分に与えられた可能性を最大限に生かせるのだと思います。

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